かつて、日本人が持つ独自の味覚として知られていた“うまみ”も今やUMAMIという英語になり、アメリカでもかなり定着してきた。最近は空前のグルメブームもあってか、フーディ(Foodie)と呼ばれるこだわり美食家志向の人達が急増。彼らのの存在も拍車をかけ、味噌、ゆず、ウニ、さば、ハマチ、和牛、黒豚 などなど、日本語がそのまま英語として使われる食材も増えてきた。これらの単語は、外国人特有のカタカナ訛りを加えて、日本語のまま、ミ~ソ-、ユ~ズ-,ハマ~チーなどと発音すれば、そこそこ食にうるさいアメリカ人になら通じるようになったご時世である。
このようにアメリカ人の食に対する意識が、ここ10年ほどで瞬く間に高まってきた。とは言え、日本人の食へのこだわりには及ばない。時に日本人のその姿は、外部からすると異様なまでに見える。季節限定商品やご当地ものなど、何かと細かい。お目当てのものを食べたい一心で、長時間行列に並ぶことを苦としない姿勢には、脱帽する。
アメリカでも行列ができ、お待ちが出るレストランは勿論ある。でも、お待ちのリストに名前を書いたら、自分たちのテーブルの用意できたと呼び出しがかかるまで、近所をぶらぶらして時間を潰したり、バーで一杯やりながら待ったりというの一般的で、長蛇の列に並んだまま、自分の席が空くのを待つとい事はほとんどない。一般的に、日本人に比べると、食べ物に関する探究心がアメリカ人はさほど高くなさそう。だから、そこまでの意気込みを持って一つの食べ物を追い求める日本人には、ちょっと驚きが隠せない。
ただ、我が家から徒歩3分くらいのところに、頻繁に行列ができるお店が1件ある。平日でもかなりの賑わいをみせていて、週末はいつもたくさんの人が並んでいる。普段いい子に一列になって、何かの順番を待つなんてことはあまりしたがらないアメリカ人なだけに、中々珍しい光景だ。そこはWest
SeattleのJunctionにある、 Bakery Nouveau というパン屋さん。すこしヨーロッパの雰囲気漂う本格的なベーカリーだ。肝心のペーストリーシェフも何やらいろんな賞を幾つももらっていて、腕は確か。行列ができるとはいえ、流れが速いので、実際の待ち時間は長くても10分程度。アメリカ人でもさほど苦になる待ち時間ではないのだろう。
Ham & CheeseのバゲットやJunction croissantなどのセーボリーなおかずパンもとてもおいしく、しっかり食事としていただけるほか、スイーツではTwice Baked Chocolate Croissant が私の一押し。名前の通り、二回焼かれたであろうチョコレートクロワッサンで、クロワッサンの中に甘さ控えめなダークチョコがしっかりと入っていいる。外から真っ白い粉砂糖が軽く振ってある。普通のクロワッサンの、バタリーでフレイキーなふかふかな生地とは異なり、やや固めな外側のパン。おそらく二回焼くことで、ちょっぴりだけサックリ感を出すことができるのだろう。この絶妙な生地の食感と、程よく中で溶けたダークチョコの組み合わせがなんとも言えない。お勧めしたい一品である。近くに訪れる機会があれば、是非おためしあれ。
りぷり
コメント